ブログパーツUL5
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

09
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--

タケとあられのブログ

リタイアした夫婦が、郷里の片田舎で両親の世話をしながら、農業や自治会の仕事に追われ、ゆとりがあるはずだった生活に揉まれながら諦めずに趣味に拘り、二人三脚で生き方を模索する、、、そういう記録を発信します。
「封神演義」を読む
0

    「封神演義」 八木原一恵編訳 集英社文庫

     

     一般にはあまり知られていないこの物語を私は特に気に入っている。違う翻訳者の作品で二度目でだ。一度目の記憶が薄れ、細部は二度目でも新鮮に感じられた。

     中国の奇書とされる物語の一つだが、その奇想天外な内容に惹かれる。時代は殷の末期で周に交替する時期が背景になっている。わが国でも漫画やアニメに描かれているが、本で読む世界を描き切れていない。登場人物の数や多彩さ、さらに繰り広げられる闘いの中で使用される武器のとてつもない威力を描けないからだと思う。

     

     歴史上殷の時代から周の時代に交替することが殷周革命とも呼ばれている。殷の国では、神をまつる儀式で多くの生贄を必要として周辺諸部族から生贄を狩り集めた。周辺諸部族の反発が高まったことだけでなく、社会の古い枠組みが時代の変化に合わなくなったために起きた政権交替のようなものと考えられている。だが、巷の伝承では、絶世の美女妲己の魅力におぼれた紂王の暴政が招いたものとされているが、あくまでそれは物語の世界観だ。

     

     物語の中では、乱れた国の天数(=命運)が尽きたとして仙人が政権交代のお膳立てをする。その使命を帯びるのが姜子牙ということになっていいる。姜子牙は太公望呂尚として知られている。周の建国の立役者で宰相となる。一国を与えられて斉の国の君主となる。

     

     「封神」という言葉の意味は、仙人や仙人のもとで修業を積む道士、地上界の人間たちの中で行いの良くない者や命運が尽きた者の命を奪い、封神する(神として祀る)ことで、それぞれ役割を持つ。いわゆる何々の神というものに当てはまる。これが殷周革命の戦の中で事業として行われる。封神される数が365人で事前にリストが作られるが、たまたま行きがかりの例外も発生する。

     

     面白いのは奇想天外な武器の数々が戦闘で使われる場面だ。それらの武器を宝貝(パオペイ)と呼ぶ。よくもまあ、これだけの武器を考え付いたものだと驚かざるを得ない。しかも、それらには威力を言葉で表す名前が付けられているからただただ感心する。仙人や道士が使う仙術も多種多彩で、宝貝の威力と合わせて結構楽しめる。

     

     殷の紂王は決して悪逆凡庸な王ではなく、能力の高い君主だったそうだ。妲己の魅力におぼれたというのも作り話で事実ではない。時代の変革期にたまたま行き当たって、人の力でどうこうすることが出来なかった。かつて最古の王朝と言われる「夏」が「殷」に取って代わられた歴史が、数百年が経過して繰り返された。

     殷は殷墟という遺跡から付けられたものだが、国家としては「商」が正しい。商の国だ。殷の国が滅びた後、殷の人々が各地に散らばって交易に携わったため、それらの人達を「商人」と呼ぶようになった。商人、商業、商売という言葉の語源はここにある。 

     

     周の建国後は、祭祀や埋葬で生贄をささげる風習が改められたようだ。神をまつるのではなく、「天」という概念に切り替わる。君主を天子と呼ぶようになる。タケ

    | 読書 | 07:37 | comments(0) | - | - |
    「七つの会議」を読む
    0

       「七つの会議」 池井戸潤 集英社文庫

       

       筆者は、「下町ロケット」の作者でもある。随分前になるが「飛ぶタイヤ」という作品も読んだことがある。企業経営や人間模様を描いた社会小説といっても良い。この本もその類のものだが、 最後に「虚飾の反映か 真実の清貧」という言葉が語られる。あくまでフィクションだが、企業で働いてきた私にも似たようなことが現実に存在すると確信している。大企業になれば、ややもすればどこにでもある話かもしれない。我が国の企業経営は内向きの出世レースや、人事評価を得るのための粉飾も例外ではない。

       

       題は文字通り7つの会議を中心に関係者の関わりや思惑がオムニバス形式で描かれる。会議の関係者がどこかでつながって最終的には、ある中堅の下請け子会社と親会社、部品を納品するそれらの下請け会社との取引を巡る不正事件が明らかになる。

       

       企業という閉ざされた社会の中の人間模様が極めて如実に描かれ、迫真のストーリー展開に圧倒される。別々に描かれる7つの会議が巧妙に組み合わされる手法は卓越していると感じた。

       不正の一つがネジの強度不足とその隠蔽だが、世の中の製造物には恐らくネジが最も多く使われている部品であろう。それだけに強度不足という問題がかなり重大なことだと痛感させられた。一読をお勧めする。タケ

      | 読書 | 07:57 | comments(0) | - | - |
      「天狗風」霊験お初捕り物控(2)を読む
      0

         「天狗風」霊験お初捕り物控(2)  宮部みゆき  講談社文庫

         

         シリーズの2作目だ。1作目より内容が複雑で、その分ストーリー展開が込み入って面白い。

         

         憑き物の話だ。特殊能力を持つお初が霊界と現実の間で活躍する物語だ。憑き物は、人間の成仏しない怨念が作り出した魔もののことで、現世に現れるためのよりどころを必要とする。恨みのこもった品物などだ。悪霊は心に迷いや悩みを抱えた人間の弱みに付け込んで影響力を発揮する。また、超自然的な威力を発揮して時に様々な害を及ぼす。

         

         物語の展開に従い怨念が何だったか、過去の辛い経験が何だったかと掘り起こし、謎を紐解いていく。登場人物の配し方もなかなか上手い。最後まで気を抜かせない展開が面白い。時代背景が古く、今では考えられないテーマが読む側の感覚にストンと落ちる。3作目が楽しみだ。

         

         作品の中で、美人の定義が取り上げられる。容貌と精神的なものを兼ね備えた絶対の美人はいないとしつつ、結局は美にしろ美人にしろ客観的なものではなく、見た人や、相手がそれをどう見たかによって決まる。その人にとって美であり、美人であればそれが美であり、美人ということになる。人それぞれに異なる感性があり、一般的なものではないという。古くから言い尽くされたような話で新鮮ではないが、納得させられる。タケ

        | 読書 | 06:41 | comments(0) | - | - |
        「震える岩」霊験お初捕り物控 を読む
        0

           「震える岩」霊験お初捕り物控  宮部みゆき  講談社文庫

           

           宮部みゆきの文章は随分と読みやすくなった。ストーリー展開も面白い。シリーズ物の第一作目だ。目明しの妹で、16歳のお初が異才を発揮する。超能力だ。事件の発端も超能力で発見する。霊験というのが神がかりの異才だから、犯人は普通の人ではない。霊魂が人に乗り移って悪事を働くという想定だ。

           今回は背景に忠臣蔵が絡んでいる。全体を語ることをせず、断片的に関連する事柄のみ紹介して好印象に思った。気楽に読める時代小説だ。タケ

          | 読書 | 19:11 | comments(0) | - | - |
          「フェイスレス」を読む
          0

            「フェイスレス、警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結」  沢村鐵 中公文書

             

             作品の題名はあまり考えなかった。副題に惹かれて買ったようなものだ。読後感は、スッキリしないという気持ちだった。

             

             冒頭殺人事件が発生する。爆殺だ。犯人捜しで所轄が始動するが、サイバーテロとの関係で本庁から部隊がやってきて対策本部が立ち上がる。某国のスパイという要素が出ると公安が絡み、捜査体制が拡大する。

             

             一方で捜査側の思惑とは関係なく事件が拡大する。殺人現場となったある大学の研究室と、そこの助手や海外からの研修生が舞台となって謎解きが進行する。そういう設定だが、ストーリーの展開に読者はスッキリしないものを感じるだろう。人権擁護派とそれを弾圧する勢力が対立する構図が背景に伏せられて、後出してストーリーの本筋に絡んでくる。サイバー攻撃などのややこしい話がますますややこしくなる。ストーリーの展開を複雑にすればするほど説明が多くなる。読み進みながらそれに飽き飽きした。

             

             最終的に殺人は手違いで起きたものとされ、サイバーテロの首謀者や事件を背景で操っていた人物の特定がないまま物語が終わる。これが最も面白くない。黒幕や首謀者を明かさないという手法は、今後続編を書き、その中でも対立軸とするのかと思わせる。

             

             単純に見た事件の核心が段々ややこしくなって、そのつじつま合わせでますますややこしくしているようだというのが私の感想だ。

             ところで、フェイスレスという言葉で認識を新たにしたのは、人の顔が覚えられないという障害のことだ。顔認識が出来ないため、身に付けたものや声で人物を特定するそうだ。だが、題名であるこの言葉が物語とどう関係するか最後まで分からなかった。

             

             事件の中心にいる研究所の助手がこの障害を抱えており、やがてすべてを動かしていた真犯人がこの人物だということになるのが落ちだろうと想像した。そうであれば、タイトルの意味が見えてくるのだが。タケ

            | 読書 | 06:59 | comments(0) | - | - |