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タケとあられのブログ

リタイアした夫婦が、郷里の片田舎で両親の世話をしながら、農業や自治会の仕事に追われ、ゆとりがあるはずだった生活に揉まれながら諦めずに趣味に拘り、二人三脚で生き方を模索する、、、そういう記録を発信します。
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「信長の原理」を読む
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     「信長の原理」垣根涼介 角川書店

     

     読了までに時間がかかった。このところ、読了の度にこういう書き出しで始まっている。理由は、じっくり読む時間が取れないからだ。

     この本のタイトルにまず惹かれた。信長についてはこれまでに読んだ本からもかなり詳しい。だが、書く側のつまり作家が新たな視点でとらえ直したから、著書が世に出た。こう考えればその内容を読んでみよう、ということだ。加えて、著者に興味があった。

     

     以前、この著者の作品を読んだことがある。最も気に入ったのが「ワイルドソウル」だ。ブラジル移民が当時の政府が取った棄民製作で行われたという歴史の汚点を取り上げて、物語はその中で逞しく生きる人たちを描く。読み終わるまで、国策が国民を犠牲にするものだという思いが拭えなかった。読後感は良かった。それを引きずった感じで興味を持った。

     

     結構な量の史実(読んで知った知識)を知っている。それが新たな視点ではどのように描かれているか、それが焦点だった。主だった部下との関係、特に昨今注目されている明智との関係を深く掘り下げている。本能寺の襲撃で物語は頂点に達する。

     

     主な点を挙げれば、信長はあくまで自分が頂点に立つ。人間的な資質は当時の万人が認める。だが、癇癪持ちでもある。自らの理屈が分かる人物は大事にされる。敵でも降参すればおおらかに許す。一方、言っても分からない武将に対しては反意がない限りそれなりの扱いで遇する。人柄を見切って用いるところは優れた君主でもある。

     

     だが、過去に犯した誤りを決して忘れない。人材として不要になった時、過去の罪科を持ち出して処断する。その辛辣さに将来を危ぶんで離れていく武将が次々に現れる。それらは悉く破滅の道をたどる。

     

     こういう話がある。勲功に対する報酬として領地を与える。だが、根底の考え方が違う。領地は管理を任せただけで、必要を感じたときは他の領地と交換させる。一時的に与えただけだという論理だ。それまでの我が国の歴史が、全国を支配下に置いた後地域ごとに代官を置いて、以後各地で力を付けた代官が大名となり、下克上の世を迎えている。これをさせない管理社会を目指しているようにも思える。

     

     家来は中間管理職であり、持てる能力を最大限に発揮しなければ跡がないという実に厳しい上下関係を敷くことになる。

     本能寺の事件に至る背景はかなり詳しく分析している。分析が細かくその説明が詳しくややくどいという印象を受ける。だが、タイトルのなかの「原理」という言葉に著者の思いが込められているように感じた。なかなか良くかけている作品だと思う。タケ

    | 読書 | 21:10 | comments(0) | - | - |